2019.5.13

澤井弁護士が「トランスジェンダーの男性社員が女装で勤務するのを会社側が禁止した場合、法律はどう答えるか」について解説した記事がヤフーニュースで配信されました!

トランスジェンダーの社員の服装を会社が制限してきた!法律はどう答える? 

(telling,5/12(日) 11:00配信)

 

そのモヤモヤ、法律を味方にすれば少しだけ生きやすくできるかも!

日々の困りごとを弁護士の澤井康生先生が、ミレニアル女子目線で易しく解説します。

今回のテーマは、トランスジェンダーの男性社員が女装で勤務するのを会社側が禁止してきた事例について。

最近の裁判例をもとに考えます。

 

A子はMM商事経理部主任、B子は法務部主任。

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B子:A子、お疲れ様。

 

A子:あ、B子さん、ちょうどよかったわ。実はまた相談したいことがあって。

 

B子:今度はどうしたの?

 

A子:私の弟のことなんだけど。実は、弟は性同一性障害で昔から男性であることに違和感を持ち、自分を女性として認識している状態なのよ。

 

B子:弟さんはいわゆる「トランスジェンダー」ね?

 

A子:そうなのよ。先日、病院で性同一性障害の診断を受け、家庭裁判所の許可を得て名前も女性としての名前に変更したのよ。

 

B子:そうだったのね、それでその弟さんがどうしたのかしら?

 

A子:弟はもともと一般企業に勤務していたんだけど、今まで会社内では男性の服装をして男性として勤務していたのよ。

 

B子:弟さんは我慢して男性として勤務していたのね。

 

A子:でも弟は今回、名前を変更したのを契機に会社に対して女性の服装で勤務することを申し出たのよ。

 

B子:つまり女装して勤務したいっていうことね。

 

A子:そうなのよ。でも会社側はそんな扱いは認めないって拒否してきて、弟が実際に女装でお化粧して出勤したら、これを禁止する服務命令を出してきたのよ。

 

B子:それで弟さんはどうしたの?

 

A子:弟としてもそこはどうしても譲れないから、服務命令には従わなかったのよ。そうしたら自宅待機を命じられて、もしかしたら懲戒解雇されるかもしれない状態なのよ。

 

B子:それは大変じゃない!わかったわ、今回の質問はトランスジェンダーの人が女装で勤務したことを理由に会社が懲戒解雇できるかどうかね。

 

A子:そう、そこなのよ。B子は話が早いわね。

 

B子:性同一性障害、つまりトランスジェンダーについてはA子の弟さんと同じようなケースを扱った裁判例(東京地裁平成14年6月20日決定)があるわよ。まず、トランスジェンダーという言葉の概念としては「生物学的には自分の身体がどちらの性に属しているかを認識しながら人格的には別の性に属していると確認し、日常生活においても別の性の役割を果たし、別の性になろうとする状態」と説明されているわよ。

 

A子:うん、まさにうちの弟もそういう状態よ。

 

B子:そのうえで、裁判所はその男性について「精神的、肉体的に女性として行動することを強く求めており、他者から男性としての行動を要求され、又は女性としての行動を抑制されると多大な精神的苦痛を被る状態にあった」と認定。「女性の容姿での就労とこれに伴う配慮を求めたことは相応の理由がある」と判断したのよ。

 

A子:うんうん、それで?

 

B子:これに対して会社側は他の社員、取引先、顧客の違和感とか嫌悪感を主張したんだけど、裁判所は「その男性の事情を認識し理解するよう図ることで、時間の経過も相まって緩和する余地が十分にある」と判断したのよ。

 

A子:うんうん、それで最後の結論はどうなったの?

 

B子:結論として裁判所は「女装での勤務によって業務遂行上著しい支障をきたすおそれがあるとまでは認められない」として、懲戒解雇は無効とされたのよ(東京地裁平成14年6月20日決定)。

 

A子:やった~!B子ありがとう、そういう裁判例もあるって弟に教えてあげるわ。

 

B子:ケースバイケースだから必ずそうなるわけじゃないわよ。

 

A子:わかっているわよ。トランスジェンダーに配慮してくれた裁判例があるってことだけで勇気づけられるわ。

 

B子:それから2016年に障害者差別解消法も制定されているから、参考にしてね。

 

A子:ありがとう。さて、私は今夜もイケメン狙いで、恵比寿あたりのワインバーに出動するとしようかしら。

 

B子:そういうことなら、私もお供するわ。

 

文:澤井 康生

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