2018.12.4
澤井弁護士が「同棲していた元カレが買った家電は返さないといけないのか」について解説した記事がヤフーニュースで配信されました。
(telling, 11/30(金) 11:10配信)
仕事でモヤモヤ、夫にモヤモヤ、人間関係でモヤモヤ。
もしかしたら、法律を味方にすれば少しだけ生きやすくできるかも!
日々の困りごとを弁護士の澤井康生先生が、ミレニアル女子目線でやさしく解説します。
今回のテーマは、恋人と同棲解消後のゴタゴタ。
最近の裁判例をもとに考えます。
A子は、MM商事経理部主任。
B子は法務部主任。
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B子:A子、お疲れ様。あれ、なんだか元気ないね。
A子:実は2年くらい前からX君と結婚を前提に同棲していたんだけど、最近ケンカして別れることになっちゃったのよ。
B子:え~、そうなの?A子かわいそう。
A子:いやいや、そこはもういいのよ。そこはもう過ぎたことだからスルーして。
B子:あ、そうなの?
A子:実は同棲を開始した時、新しくアパートを借りたのよ。結婚するつもりだったから、家計も一緒にしていて、私が家賃、敷金とか出して家財道具も買いそろえたのね。全部で100万円くらいかな。
B子:うん、それで。
A子:X君はテレビ、冷蔵庫、洗濯機とか家電類を買ってくれたのよ。全部で50万円くらいかな。
B子:うんうん、それで。
A子:今回、X君と別れることになったんだけど、X君が家電は俺のお金で買ったものだから全部よこせって言ってきたのよ。確かに家電のお金を出したのはX君なんだけど、こういう場合って家電は誰のものになるの?
B子:なるほど、そこは確かに法的な争点になるわね。実は私も過去に同じような目にあって、弁護士さんに相談したことがあるのよ。そしたら「内縁関係にある男女間で双方が同居するにあたり相応の費用を負担している場合、相手が購入した家電類も無償で使用することができ、実質的には共有物であって、家電を返還する義務はない」とした判決があるんですって(東京地裁平成28年10月18日判決を簡略化しています)。
A子:よかった、家電は2人の共有物だからX君からの返還請求に応じなくてもいいのね^^
B子:そういうことね。でも、家電がA子一人の物になったわけじゃないから勝手に売ったりしちゃだめよ。それをやると横領とかになっちゃうからね。
A子:そうね、何らかの形で精算しなきゃいけないわね。でもとりあえず「返して」っていう要求に無条件に応じなくてもいいってわかって安心したわ。
B子:お役に立ててよかった。
A子:でもこんなことならもっと高い家電をたくさん買ってもらえばよかったかなー。エアコンとか電子レンジとか、ブルーレイとか空気清浄機とか。
B子:A子ったら、転んでもただでは起きない精神ね。
A子:こういうのは危機管理、クライシスマネジメントっていうのよ。法務部のB子なら知っているでしょ。
B子:いや、A子、それちょっと違うと思うけど……やれやれ。
文・澤井康生
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