2021.2.8

医療法人の清算中の破産手続について

本日は医療法人の清算中の破産手続について紹介いたします。

 

【破産申立義務】

医療法人の清算中に債務の全額を弁済するとができなくなった場合、破産手続によって公平な分配を行い、債権者を保護する必要が生じます。

清算人は医療法人の財産が債務超過と明らかになったときは、直ちに破産手続開始の申立てを行い、その旨を公告しなければなりません。

清算手続から、より厳格な破産手続へと手続を切り替えることから、利害関係人に注意を喚起するために、公告は、官報に掲載して行います。

清算人が医療法人について破産手続開始の申立てを怠ると、20万円以下の過料に処せられます。

また、清算人が医療法人について破産手続が開始された旨の公告を怠ったり、虚偽の公告を行うと、20万円の過料に処せられます。

なお、破産手続開始の申立ては、清算人のほか債権者も行うことができます。

 

【清算人の任務の終了】

破産手続開始決定がなされると、裁判所により破産管財人が選任され、破産手続が開始されることになります。以後の手続きは、破産法に従い、破産管財人により行われます。

もっとも清算人は破産手続の開始決定又は破産管財人の選任により直ちにその地位と権限を失うわけではなく、破産管財人に対してその破産財団に関する事務を引き継ぐまでは、その地位にとどまることになります。

ただし、破産財団に関しない事務については、清算人と破産管財人はそれぞれの職務権限を有し、併存し得ると考えられます。

 

【破産管財人による返還請求権】

清算中の医療法人が破産手続開始決定を受けたとき、破産管財人は、清算人が清算中に債権者に支払い、又は帰属権利者に引き渡したものがある場合に、その返還を求めることができます。

破産財団(破産者の財産又は相続財産若しくは信託財産であり、破産手続において破産管財人にその管理及び処分をする権利が専属するもの)は、破産者が破産手続開始時において有する一切の財産であるとされています。

そうすると、清算人が清算中に債権者に支払い、又は帰属権利者に引き渡していたものがある場合、破産手続開始時には、すでに清算医療法人から抜け出て存在しないため、当該財産は原則として債権者の引き当てにはできないこととなります。

しかしこのような原則に従うと、先に弁済を受けた債権者や財産の引き渡しを受けた権利帰属者が不当に利益を受ける一方で、未だ弁済を受けていない債権者との間で不公平が生じます。

そこで清算人が破産手続開始決定前に債権者に弁済し、又は権利帰属者に引き渡したものについて、破産財団に属するものとして取り扱うことによって債権者間の公平を図っています。

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