2021.2.1

新型コロナウイルスに関連する労働者の休業および休業手当について

新型コロナウイルスに関連する労働者の休業および休業手当についてまとめていきます。

※なお、感染が疑われる労働者に対して、使用者が一方的に年次有給休暇を取得させることはできません。労働基準法上の労働者であればアルバイトなども含めて、休業手当の支払い対象です。

 

休業期間中の賃金の支払いの必要性の有無などについては、個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案するべきですが、労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。
また、労働基準法においては、平均賃金の100分の60までを支払うことが義務付けられていますが、労働者がより安心して休むことができるよう、就業規則等により各企業において、100分の60を超えて(例えば100分の100)を支払うことを定めていただくことが望ましいです。

 

※不可抗力による休業の場合は、使用者の責に帰すべき事由に当たらず、使用者に休業手当の支払義務はありません。ここでいう不可抗力とは、

①その原因が事業の外部より発生した事故であること

②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること

上記の2つの要件を満たすものでなければならないと解されています。

例えば、自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分検討するなど休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないと認められた場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する場合があり、休業手当の支払が必要となることがあります。
では新型コロナウイルス感染症を前提に休業手当についてケース別にみていきます。

 

①感染した方を休業させる場合

→都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられるため、休業手当を支払う必要はありません。

 

②感染が疑われる方を休業させる場合

→「帰国者・接触者相談センター」での相談の結果を踏まえても、職務の継続が可能である方について、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。

 

③発熱などがある方の自主休業

→新型コロナウイルスか不明の時点で、労働者が自主的に休まれる場合は、通常の病欠と同様の取り扱いです。

 

④事業の休止に伴う休業や新型インフルエンザ等対策特別措置法適用下で、協力依頼や要請などを受けた営業の自粛に伴う休業

→使用者の責めに帰すべき休業か不可抗力による休業かで休業手当の要否が変わります。個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案し判断する必要があります。

 

様々なケースを記載しましたが、そもそも事業主は、その雇用する労働者のうち、特に配慮を必要とする方について、その事情を考慮して対策を行う等して労働条件の改善に努めなければなりません。

そのため、新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合、労働基準法の休業手当支払いの要否にかかわらず、労使で十分に話し合い、労働者の不利益を回避するように努力することが大切です。

また、新型コロナウイルス感染症の拡大防止が強く求められる中で、休業手当を支払った場合は雇用調整助成金の支給対象となり得ます。

 

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