2020.4.20

自筆証書遺言の保管制度について

さて、以前にも、民法が改正されたことにより、自筆証書遺言の要件が緩和されたことをお伝えいたしましたが、今回は、自筆証書遺言の保管制度が創設されたことについて、お話しさせていただきたいと思います。

 

自筆証書遺言は、いつでもどこでも費用を掛けずに作成することができ、遺言者にとっては手軽な遺言書作成方法である一方、厳密に方式が定まっており、また、遺言者の死亡後は、遺産分割や相続手続の前に、家庭裁判所で検認の手続きをする必要があることがデメリットでした。

また、自筆証書遺言は、遺言者の自宅などで保管されることが多く、公正証書遺言のように、作成後の遺言(原本)を公的機関に保管する制度はありませんでした。そのため、遺言書の存在を隠しておくことができる反面、方式不備や紛失、偽造のおそれがあり、後日、その存在や有効性をめぐって紛争が生じることも少なくありませんでした。

 

そこで、今回の民法改正に伴い、法務局で自筆証書遺言(原本)を保管してもらえる制度が創設されました。(実際の運用は2020年7月から。)

 

以下、自筆証書遺言保管制度の手続を簡単にお伝えさせていただきます。

 

①まず、遺言者本人が、法務局に自筆証書遺言(原本)を持参して保管申請を行います。この申請は、必ず遺言者本人が行う必要があり、代理申請はできません。ですので、法務局まで足を運ぶことのできない高齢者などは、この制度を利用することができません。また、「無封」の遺言書でなければなりません。

 

②法務局では、遺言者の本人確認のうえ、遺言書の形式審査が行われます。この段階で、方式不備のチェックが行われるため、後日の紛争を避ける効果が期待できます。

そして、法務局で原本が保管されるとともに、遺言書の画像データが法務局間で共有されます。

 

③遺言者の死亡により相続が開始すると、遺言者の関係相続人など(相続人や受遺者、遺言執行者等)は、法務局に対して、❶遺言書情報証明書の交付、❷遺言書保管事実証明書の交付、 ❸遺言書の閲覧 を請求することができます。

 

なお、相続人等の1人が❶または❸の手続を行った場合は、法務局からその他の関係相続人等に対して、遺言書を保管していることが通知され、遺言書の存在が明確となります。

 

この保管制度の大きなメリットとして、家庭裁判所での検認の手続が不要となる点があげられます。これは、相続手続を行う上で、関係相続人等にとって、大きな負担軽減になると思われます。

また、法務局で遺言書原本が保管されますので、紛失や破棄、偽造のおそれもありません。

 

ただし、遺言書の保管の申請や遺言書の閲覧請求、各証明書の交付の請求をするには,手数料を納める必要がございます。

 

自筆証書遺言の利用が容易になったことで、これから、ご自身で遺言書をご用意されるケースが増えてくるかと思われます。その一方で、気軽に遺言書を作成できるからこそ、内容をよく検討することが必要です。

 

海星事務所では、遺言書の作成から相続手続まで、トータルでサポートすることが可能です。遺言書の作成でお困りの際は、どうぞお気軽にお声がけください。

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