2015.11.27

裁判例のご紹介(医療・データねつ造・損害賠償)

今年もいろいろな事件がありました。

 

医療に関しては、STAP細胞をめぐる研究不正について、2015年2月10日に理化学研究所が小保方晴子元研究員を懲戒解雇相当と発表するなど関係者の処分を行いました。また2015年9月24日付けで英科学誌ネイチャーはSTAP現象が真実ではないことをはっきりと立証したと発表しました。

 

医学論文におけるデータねつ造は以前から繰り返し問題視されていて、事件が明るみに出るたびに対策が講じられてきましたが、残念ながら後を絶ちません。

 

今日紹介するのは、STAP細胞事件と同じく、医学論文におけるデータねつ造が争点となって提訴された裁判例です(大阪地方裁判所平成20年12月26日判決・判例タイムズ第1293号)。

 

この事件は、ある国立大学医学部において、医学生が海外の著名な医学誌に医学論文を発表したところ、その後、医学生によるデータの改ざんが発覚し、共著者である教授らが記者会見を開いて、その旨を説明したところ、医学生がかかる記者会見での説明を名誉棄損にあたるとして教授らを相手に1000万円の損害賠償を求めたものです。

 

医学生は、記者会見前の事情聴取では自身の不正を認めていたものの、事件後の学内の調査委員会では自身の不正を否定しました。そして医学生は教授らからハラスメントを受けたと主張しました(判決文より)。

 

事件後、学内で設置された調査委員会は医学生によるデータねつ造を認定し、医学生の訴えにより設置されたハラスメント委員会では医学生の訴えは退けられました(判決文より)。

 

判決では、医学生の主張は全面的に退けられて、医学生の請求は棄却され、教授らの全面勝訴となりました。

 

判決理由の中で、学内での調査の過程や結論、当事者らの言動が事細かに事実認定され、法的な評価が下されていることは、同種事件に関して参考になると思い、ご紹介しました。

実は、この裁判で教授側の主任代理人を務めたのが弁護士法人海星事務所の表宏機弁護士でした。平成17年の事件ですからもう10年前のことになりますが、(訴訟で問題となった記者会見とは別の)記者会見で同席したこと、大学関係者やメディア関係者との深く意見交換を行ったこと、夜遅くまで準備書面を起案したことなど思い出深い事件だったそうです。

 

表宏機弁護士いわく

「一番印象深かったのは、教授が私に言った『歴史の裁定に耐えうるしっかりとした裁判所のご判断を頂きたいので、よろしくお願いします』というコトバです。身も心もキリっと締まりました。」

 

これはどの案件でもいえることですね。一つ一つの案件をていねいに処理することが何よりも大切だと感じます。

 

医業経営、医療機関におけるこうしたアクシデントやトラブルへ適切に対処するには、医療、医学の専門知識や組織に通じた知識や知見が不可欠です。

 

弁護士法人海星事務所では全国でも数少ない医療専門の弁護士事務所として、医業経営、医療機関に関するご相談は広く受けつけております。

 

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