2025.12.4
【Q&A】004 入院介助中の事故の責任
Q
入院中の患者の介助の際に患者が転倒し骨折しました。介助スタッフに過失がある場合、原因が不明である場合それぞれ骨折に関する治療費は誰が負担しますか。
A
治療費は原則として、その転倒事故に病院(またはそのスタッフ)側の過失が認められるかどうかが負担者を分ける重要なポイントとなります。
入院中の患者様に対する介助には、病院側には安全配慮義務があるため、介助スタッフに過失があるかどうかで責任の所在が大きく変わります。
1.介助スタッフに過失がある場合
介助スタッフの不注意や介助手順の誤りなどが認められた場合、病院は、患者様との入院契約に基づき安全を配慮する義務(債務不履行責任)と、スタッフの不注意で損害を与えた責任(不法行為責任)を負うため、骨折に関する治療費を病院側が負担しなければならない可能性が生じます。また過失(不注意)に関して、介助スタッフは介護の専門家として一般的に求められる程度の高い注意義務が要求されることになります。
なお、病院側の法的責任が認められる場合であっても、過失相殺(患者側の要因も考慮して賠償額を減額すること)が適用されることもあります。
2.原因が不明(過失の有無が不明)である場合
介助中に転倒したものの、介助スタッフの過失を証明できない、または患者様の急な体調変化や突発的な行動が原因とされた場合です。
このような場合、直ちに病院の過失とはなりません。したがって、骨折の治療費は患者様ご自身が負担することになります。
~法律家の支援の必要性~
病院内での転倒事故は、「安全配慮義務」の有無という法的な争点に帰着するため、単なる医療費の問題ではなく損害賠償請求へと発展するリスクがあります。
また過失が認められるか、どうかについては、事実関係を迅速かつ適切に調査し、過去の判例等に照らして法的に判断する必要がありますが、これは非常に難しい作業です。
関係者へのヒアリングに加えて過去の診療分を含めた診療録、看護記録、検査、問診表などの客観的な証拠も併せて検討する必要があります。
弁護士法人海星事務所は、東京、大阪を中心に医療分野での法律事務を多く取り扱っております。介助中の事故に関して患者様やそのご家族様との交渉、再発防止のための体制整備を支援いたします。ぜひご相談ください。
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