Q&A

2025.12.8

【Q&A】006 カスハラ対応の記録の方法

Q

病院での患者によるハラスメント的言動が行われた場合、その事実を記録に残す場合の注意点について教えてください。

 

 

 

 

A

日々、患者様のケアに尽力されている中で、理不尽な要求や暴言(カスタマーハラスメント)への対応は、病院スタッフにとって精神的にも大きな負担になります。対応措置や診療拒否の正当性を立証するためには、信ぴょう性の高い「客観的かつ具体的な記録」が命綱となります。記録を残す場合、以下の点に注意が必要です。

 

1.具体的に記録すべき事項(5W1H)

抽象的な表現(例:「暴れた」「怒鳴られた」)ではなく、事実をありのままに記載します。

 

➤日時・場所: トラブルの開始から終了までの正確な時間。

➤相手の特定: 患者氏名、属性、同伴者の有無。

➤言動の内容(最重要): 相手の発言を「一言一句そのまま」記録します(例:「誠意を見せろ」「ネットに書き込むぞ」「バカ」「だまれ」等)。

➤態様: 声の大きさ、表情、威圧的な動作(机を叩く、詰め寄る等)。

➤こちらの対応: 職員が具体的にどう返答し、どう対応したか。

➤目撃者: 同席した他の職員や、第三者の有無。

 

2.記録の方法

 

➤業務日誌・報告書:

ハラスメント行為が行われた後の記録も有効です。ただし、当日に報告書を作成するなど、記憶が鮮明なうちに直ちに作成してください。電子メールやSNSを活用して院長や上司に報告する形での記録も有効です。

➤録音・録画:

録画や録音は言った言わないの水掛け論を防ぐ最強の証拠です。当事者としての秘密録音は証拠能力が認められる場合が多いですが、トラブル防止のため「防犯カメラ作動中」の掲示や、「正確な対応のため録音します」と告げてからの録音がより望ましいでしょう。

 

~法律家の助言が必要な理由~

記録があっても、それが「診療応招義務の例外となる正当事由」や「強要罪・業務妨害罪」等の刑事上の犯罪に該当するかどうかの法的な判断は、非常に専門的な知識を要します。対応を誤ると、逆に医療機関側が責任を問われるリスクさえあります。

また普段から、将来ハラスメントが生じたときの対応方法や記録の取り方、保管の仕方などについて専門家に相談し、助言を得ることも大切です。

 

弁護士法人海星事務所は、医療・薬事・介護・企業法務に強みを持つ法律事務所です。

組織を守り、スタッフが安心して働ける環境を作るために、ぜひ一度ご相談ください。