Q&A

  • HOME
  • ニュース
  • Q&A
  • 【Q&A】025 相続財産だけじゃない!相続債務って?

2026.2.18

【Q&A】025 相続財産だけじゃない!相続債務って?

診療所の院長(個人開業医)が亡くなり、相続が発生しました。ところが、相続財産だけでなく、相続債務もあることが判明しました。この場合、相続人はどうしたらよいのですか。

 

 

 

診療所の財産や個人の財産は相続財産として相続の対象になります。また診療所の借金も個人の借金もすべて相続債務として相続の対象となります。

 

◆診療所の債務: 医療機器の残リース料、薬品や材料の未払金、金融機関からの運転資金・設備資金のローン残高、従業員の未払い給与・退職金など。

◆個人の債務: 住宅ローン(団体信用生命保険がない場合)、クレジットカードの未決済分、未払いの税金(所得税・住民税など)。

 

相続財産よりも債務(借金)が多い可能性がある場合や、どちらが多いかはっきりしない場合には、ご遺族を守るための法的な選択肢が2つあります。

 

1.相続放棄(そうぞくほうき)

相続財産が明らかにマイナス(債務超過)である場合に行う手続きです。

 

●内容: 最初から相続人でなかったものとみなされ、プラスの財産もマイナスの負債も一切引き継ぎません。例えば自宅不動産のみ相続人が引継ぎ、その他の財産や債務は引き継がないということはできません。

 

●期限: 自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。

 

 

2.限定承認(げんていしょうにん)

財産のプラスとマイナスのどちらが多いか分からない場合に行う手続きです。

 

●内容: 相続したプラスの財産の範囲内でのみ、マイナスの負債を支払うという条件付きの相続です。万が一借金が残っても、個人の財産から持ち出す必要はありません。

 

●注意点: 相続人全員が共同で行う必要があります。また手続きも非常に複雑で時間がかかります。限定承認の場合は相続財産や相続債務の正確な調査を行うとともに、相続財産の範囲で相続債務を法の規定に則り公平に支払うことを求められるからです。また、相続放棄と同様に自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。

 

●利点:限定承認の場合、例えば相続人が対価を支払って自宅不動産のみを確保する余地があります。

 

➤非常に重要な注意点:法定単純承認

手続きを検討している間に、診療所の備品を売却したり、院長の預金から自分のために支払いを行ったりすると、「単純承認(すべてを相続する意思がある)」とみなされることがあります。これを「法定単純承認」と呼び、後から相続放棄や限定承認ができなくなるため、自己判断での財産処分は厳禁です。特に院長先生が亡くなった当初は相続債務の存在や法の存在を知らずに、預貯金を解約して相続人の財産に取り込んだり、診療所の備品や自動車などを売却したりしてしまうリスクもありますので要注意です。

 

➤専門家による迅速な調査が必要です

個人診療所の場合、相続財産だけでなく、レセプトの未回収分やリース残債、従業員の退職金など、負債の全体像を把握するのは容易ではありません。また相続財産と相続債務のバランスを3か月という期間内に正確に調査するとともに、相続の承認、放棄、限定承認という異なる方式について最適な選択をするには、法律家の支援が不可欠です。

 

相続についてお悩みの時は弁護士法人海星事務所に是非ご相談ください。