Q&A

2026.3.5

【Q&A】028 患者からのクレーム電話への対処

Q

病院で診療を受けた患者が、帰宅後に病院に電話をかけてきて、長時間クレームを言い続けて、電話を切ってくれません。病院としてはどのように対応したらよいですか。繰り返し電話をかけてくる場合はどうしたらよいですか。

 

 

 

A

電話による長時間のクレーム(電話カスハラ)は、病院の診療業務を著しく停滞させ、スタッフの精神的疲弊を招く重大な業務妨害です。病院としてはスタッフの良好な職場環境を保つためにも適切に対応することが求められます。

 

☝病院としての適切な対応ステップ

 

1.通話時間の「上限」を告げる

通話時間が長くなり、同じことの繰り返しになっているような場合には「他のお客様の緊急連絡にも対応する必要があるため、お電話はあと10分で終了させていただきます」と、あらかじめ終了時間を明示することは有効です。

 

2.警告の上で電話を切る

時間を過ぎても切らない場合、「業務に支障が出ますので、これにて失礼いたします」と告げて電話を切って構いません。執拗なかけ直しは、刑法の威力業務妨害罪に該当する可能性があります。

 

3.「以後の対応は書面のみ」と告げる(有効な手段)

これらの対応でも対処しきれない場合(繰り返しクレーム電話をかけてくるような場合)は、「今後はすべて文書で対応する」という方針を伝えることも有効な手段です。「言った・言わない」のトラブルを防ぎ、スタッフの精神的負担を遮断できます。「正確を期すため、今後は書面にて承ります。お電話をいただいてもお繋ぎできません」と毅然と伝えてください。

 

☝たとえば、患者様が「院長(責任者)を出せ」と要求したり、「診療内容について聞きたい」と主張したりする場合でも、病院側がその要求(電話での即時対応)にすべて応じる必要はありません。

 

1.院長への交代要求について

病院には「施設管理権」があり、誰がどの業務に対応するかを決定する裁量があります。執拗に特定の役職者を呼び出す行為は、組織の指揮命令系統を乱すものであり、「窓口担当者が対応する」という方針を貫いて問題ありません。 むしろ、安易に院長が対応することで「粘れば院長が出てくる」という誤った学習を相手にさせてしまい、事態が悪化するケースもありますので注意を要します。

 

2.診療内容に関する質問について

医師には「説明義務」がありますが、これは「患者の望む時間・方法で、際限なく答えなければならない」という意味ではありません。

 

➤「電話では正確な診断内容の伝達に限界があるため、外来にて直接ご説明します」

 

➤「質問事項をあらかじめ書面で提出してください。後日回答します」 このように、「適切な方法」を提示すれば、説明義務は果たしているとみなされます。 電話で何時間も拘束されることを許容する必要はありません。

 

患者からのクレーム電話でお困りの際は弁護士法人海星事務所までご連絡ください。クレームの内容、程度などに応じて適切な対応方法を助言します。病院業務に支障が出るようなケースでは弁護士が病院の代理人としてクレーム対応の窓口になることもあります。