2026.3.6
【Q&A】029 患者からの不当な写真撮影への対応
Q
患者が病院スタッフの対応に腹を立てて、スタッフの写った写真や動画を無断で何度も撮影しています。撮影を辞めるように伝えても辞めてくれません。どのように対応したらよいですか。また撮影された画像や動画を消去できますか。

A
院内での無断撮影は、スタッフの肖像権を侵害するだけでなく、病院の施設管理権を乱す重大な迷惑行為です。毅然とした対応が求められます。
☝病院が行うべき即時の対応
1.「撮影禁止」のルールを提示し、中止を命じる
院内掲示や施設利用規約に基づき、「当院では無断撮影を禁止しています。直ちに止めてください」と明確に伝えます。これは施設管理権に基づく正当な業務命令です。
2.退去を命じる(診療拒絶の正当な理由)
中止命令に従わない場合、診療の継続は困難であるとして退去を命じます。何度も退去を命じたにもかかわらずこれに従わずに居座る場合は、不退去罪として警察へ通報することができます。
3.画像の消去について
注意すべきは、スタッフが無理やりスマートフォンを取り上げたり、強制的にデータを消去したりすることはできない点です。無理に行うと、逆に窃盗罪や器物損壊罪に問われる恐れがありますので、推奨できません。
警察官であっても、その場で強制的に患者のスマートフォンから画像や動画を消去させる権限は通常ありません。警察の主な任務は犯罪の捜査や治安の維持です。無断撮影が直ちに刑法上の犯罪に該当すると断定できない段階では、個人の所有物であるデータ消去を強制することは、財産権の侵害にあたるため困難です。警察官が撮影を止めるよう、あるいは画像を消去するよう「説得(任意のお願い)」を行ってくれることを期待するしかありません。
ただし、下着の撮影やトイレ内での撮影、いわゆる「盗撮」が行われた場合は、単なる肖像権侵害や迷惑行為とは次元が異なります。これは「性的姿態撮影等処罰法(性的姿態等撮影罪)」などの法律に抵触する、重大な刑事犯罪です。
☝ちなみに、盗撮が行われた場合の緊急対応は以下の通りです。
1.直ちに110番通報し、身柄を確保する
盗撮は現行犯逮捕が可能です。周囲の安全を確保しつつ、警察官が到着するまで現場に留め置いてください。これまでの「無断撮影」とは異なり、犯罪として警察が動くケースです。
2.警察による機器の差し押さえ
刑事事件として捜査が始まれば、警察はスマートフォンを証拠品として差し押さえる(強制的に没収する)ことができます。これにより、その場での拡散を物理的に防ぐことが可能です。
3.被害者保護と証拠保全
データの消去自体は捜査・裁判の過程で行われますが、警察が介入することで、被害者のプライバシーを守りつつ、法的に適切な手順でデータの破棄や拡散防止を求める土壌が整います。
不当な写真動画撮影やSNSへの拡散などは近時社会問題となっており、看過することはできません。
病院における不当な写真動画撮影でお困りの際や予防策を講じたい場合は、弁護士法人海星事務所までご連絡ください。病院の規模や診療体制、事案に沿った適切な対応方法や予防策について助言させていただきます。
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